中央工学校地理空間情報科に兼任講師を派遣しています。また、同科における教育活動で開発された教材、「改訂版測量数学テキスト」を出版・販売しています。
担当者紹介
中堀 義郎
1977年4月に国土地理院に採用、2006年4月に同院測地部長を最後に退官。測量教育の分野では、日本測量協会地理空間情報専門技術講習会で基準点測量A課程の講師を6年間担当、2021年現在埼玉大学工学部環境社会デザイン学科(前建設工学科)において客員教授として測量学及び測量学実習を、中央工学校地理空間情報科(測量士養成コース)において兼任講師として数学及び測地測量を担当。また、測量教育関連の研究としては、測量専門学校の入学者数と公的固定資本形成及びGDPの関連性について国際測量者連盟(FIG)作業週間において発表した下の論文がある。
Yoshiro NAKAHORI : Correlation between the Number of Applicants for Professional Surveyors and Government Fixed Capital Formation/GDP(% ), FIG Working week 2015
「測量数学テキスト」の表紙について
古代ローマ帝国は、支配地域に道路、水道等のインフラ投資を積極的に行ったことで知られている。「測量数学テキスト」表紙の写真は、スペインのセゴビアにある古代ローマ時代に建設された水道橋である。最大地上高28m、長さ約700mを誇り、そのスケールの大きさ、美しさは、当時の測量技術と建設技術の高さを示している。2011年にこの街を訪れた時に感じた驚きと感動を今でも覚えている。車を運転して街中の坂道を上って行くと、上り切ったところで水道橋が眼前に現れた。古代ローマ街区は右手の高い城壁で囲まれた小高い山の上にあり、橋は山の鞍部に架けられている。測量や工事の大変さを思うと、あんなに高い所によくぞこのような大きな橋を架けたものだと、驚嘆するばかりだった。このインフラ建築は約2000年前に人々の日常生活を支えるために建設され、現在では多くの観光客を集めてセゴビアの経済を支えている。長い年月を経て、水道橋は重要な役割を果たし輝き続けていた。忘れられないのは、セゴビアの観光案内所のガラスに、「頑張れ日本、セゴヴィアからも応援します」という東日本大震災で傷ついた日本人を励ますメッセ-ジとともに復興を祈る折り鶴が飾られていたことだ。遠く離れたスペインの地から、人々は暖かい気持ちで日本人を応援してくれていたのだ。
セゴヴィアの水道橋は、私にとって特別な世界遺産である。